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【事例】中途採用した社内SEが会社の仕組みをリニューアル

大企業でも自社システムを丸投げして、失敗するケースが多く聞こえてきます。

この企業では、中途採用したSEを使って、要件定義からプログラム作成まで、ゆっくり時間をかけて作成しています。経営層から役員クラスを、プロジェクトリーダーにすることで、アイディアからIT化実現まで時間短縮を図っています。

感心したのは、営業や技術サービス担当者全員に、タブレット端末230台を支給したこと。
端末があって操作できることが、IT化への第一歩なのです。2人に1台のパソコンでは、絶対にIT化は実現しません。

生産状況や営業の進捗状況を全社で共有することで、次のすべきことをみんなで共有できることで、生産性が上がったことです。

ペーパレス化やクラウドアプリ導入は、社員の気持ちが変われば、導入障壁として存在しません。

 

企業概要

企業名 株式会社カワトT.P.C.
所在地  山口県岩国市
従業員数 358名
資本金  9,000万円
事業内容 製造業

副社長の引退を見据えてデジタル化の推進を決意

山口県岩国市の株式会社カワトT.P.C.は、マンションの給水給湯の配管や水栓金具部品を製造する企業。同社の主要取引先は大手ゼネコンで、同社製品である配管設備は都内の新築マンションの3棟に1棟の割合で使われる。

2016年、生産管理や経理を当時統括していた副社長が3年後に引退することとなり、副社長が持つ知識やノウハウの伝承が大きな課題となった。そこで川戸俊彦社長は、デジタル化3年計画を構想し情報共有の円滑化と業務の見える化を推進することを決意した。

円滑な情報共有の仕組みを新たに構築、競争力を強化するデジタル化にも取り組む

川戸社長は新たな基幹システムの構築に取り組んだ。当時の社内システムはITベンダーに全面委託し開発したが社員が使いこなせておらず、社内のニーズや意見を重視し機能を絞ったシステムが求められていると考えた。

構想を具体化するに当たっては、3名のシステムエンジニアを中途採用した。3名のシステムエンジニアと役員自らが推進役を担い、要件定義からプログラム作成まで約1年をかけた結果、受注から組立施工、在庫管理、納品までの業務フローと業績管理を一元化した基幹システムを構築した。

営業や技術サービス担当者全員に対しては、タブレット端末計230台を支給し、生産状況や営業の進捗状況を全社で共有できるようになった。社内の情報共有が進んだことで部門をまたいだコミュニケーションが円滑になり、工程内検査や出荷前検査の記録もデータ化されたことでペーパーレス化が進んだ。

デジタル化の効果を実感した川戸社長は、樹脂加工や金属加工の本業におけるデジタル化も推進した。2019年には、年間7万件約30年分の図面データとAIを活用して施工図を自動で作図するシステムを導入し、従来は2日程度要していた施工図の作製を約1時間30分まで短縮した。作図のリードタイム短縮とコストダウンが評価され大手ゼネコンとの取引増につながった。

2021年にはIoTを活用し工場の遠隔監視・遠隔操作もシステム化で実現した。24時間365日無人運転しているNC旋盤を遠隔で管理し、稼働状況や生産数、工場内環境がリアルタイムに確認できるようになった。

職場環境の改善と自律的な組織づくりを実現

作業効率が上がったことで総残業時間は取組開始前から2割削減することに成功。「副社長からのノウハウの伝承も終了し、自律的な組織となったことで社長の出る幕も少なくなった」と川戸社長は笑う。

デジタル化の取組が成功したのは社員の努力の成果と考え、職場環境の改善とともに給与水準も引き上げたことで、社内のモチベーション向上や定着率アップにもつなげている。

「人件費が合わず、海外に移管せざるを得ないビジネスモデルであっても、デジタル化の取組をはじめとした効率化の積み重ねで国内の中小製造業も活路を見いだすことができるのではないか。」と川戸社長は語る。

中小企業白書より