IT導入補助金をうまく活用しよう

IT利用状況と課題

1.中小企業のIT利用

中小企業のIT利用は「オフィスソフト」「電子メール」「給与・経理業務ソフト」に集中しており、収益に直結する「調達・販売・受発注管理ソフト」は、3割程度の導入に留まっています。しかし、クラウドサービスの進展で、ITツール導入の期間やコストは大幅に低減し、導入後の「経営の見える化」が実現しやすくなりました。

IT利用の課題では、ITツールとIT導入支援事業者の選択がファーストステップです。ITツール導入後「経営の見える化」を実現して、経営者の眼をもって「稼ぐ力」(販売・技術・人材)を伸ばすことが、セカンドステップとなります。

昨年度から、国の補助金を利用してITツールが導入できる仕組みが出来ました。中小企業庁「IT導入補助金」がITツール導入の追い風になっています。H30年春には「IT導入補助金」の申請が始まる予定です。

2.企業規模とIT利用状況

企業規模(1)大企業:IT投資を十分に利活用している
事業部門でも十分にIT利用して収益につながっているトップ層であり、第四次産業革命の対応が課題で、IoTや人工知能のツール化が見込まれる。

(2)中堅企業:IT投資が一定程度存在する
企業組織が中堅規模で、自社設置サーバを中心にITツールを整備している。最新クラウド型に関心があり、BPRの実施とともに、IT人材の確保や育成が課題である。

(3)小規模企業:IT投資が進んでいない
企業組織が小さく、パソコンそのものを使っていない場合もある。「IT投資が進んでいない」というよりも「合うサービスがない」状態。標準的なクラウドシステムに合わせて、自社業務を見直すBPRを実施。システム導入後の見える化に向けて支援機関との連携も課題。

3.中小企業の現状と課題

中小企業の労働生産性は、全ての業種において大企業を下回る水準であり、サービス業の生産性が特に低い傾向にある。中小企業の6割弱がITを利用しているが、その6割は給与・経理業務ソフトに集中している。収益に直結する調達・販売・受発注管理は、IT利用する企業の3割に留まっており、ITツールをどのように導入するか課題である。

 

労働生産性

※(出典)財務省「平成26年度法人企業統計年報」総務省「平成26年経済センサス基礎調査」

(1)ITツールと導入率
一般オフィスシステム(ワード、エクセル等)、電子メール、給与、経理業務パッケージソフトが5割程度に導入されているが、調達、生産、販売の基幹業務統合ソフト(ERP等)や電子受発注情報管理(EDI)は2割程度となっている。

IT投資アンケート

※(出典)中小企業・小規模事業者の経営課題に関するアンケート調査(全国中小企業取引振興協会(2016))

(2)IT投資を行えない理由
「ITを導入できる人材がいない」「導入効果が分からない」が主な理由(4割)、コストだけではないハードルの高さを感じる。

IT投資しない理由

※(出典)中小企業庁委託「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」(2015年12月、(株)帝国データバンク)

(3)中小企業に最適なクラウドサービス
サーバなど自らのIT設備の保有や技術者常駐も不要なため、導入コストが低くなり失敗しても撤退が可能なので導入決断が容易になった。クラウド型では、サービス間のデータ連携によって、予約から売上までのデータを連続して生成できるので、日々の決算処理も可能になった。その結果、経営者に「経営を考える時間」が与えられ、日々の売上高を見て判断できる「経営者」に脱皮できる。

4.業績と ITとの関係

中小企業白書によると、業績はIT投資の始めたことで「業務効率化」、「売上拡大」、「収益力向上」、「利益率向上」が図られ、結果として「売上高」に反映されている。
IT投資した企業としない企業の直近3年間を業種別比較では、売上高、売上高経常利益率共に、IT投資をした企業の方の水準が高い。

IT投資を始めた企業が売上高を伸ばしたのは、2010年にIT投資を始めて業務効率化や売上の拡大を行い、収益力を向上させて利益率を上げたためである。

IT投資と業務実績 売上高経常利益率

5.自社ホームページとソーシャルメディアの効果

自社ホームページ設置によって「営業力・販売力の強化」、「売上の拡大」、「顧客満足度の向上・新規顧客・新市場開拓」が図られる。またソーシャルメディア活用では、自社ホームページ設置と同様な効果に加えて「社内情報の活発化」、「プロセス合理化」、「コスト削減」、「収益力向上」が反映されている。

自社HPとSNS

6.電子商取引による効果

電子商取引(EC)でのビジネス取引(BtoB)では、電子メールやホームページの「販売や仕入」、EDIの「データ受発注」による「紙伝票作成や手間・コスト削減」、「取引先と連携関係の強化」が図られている。個人取引(BtoC)では、自社ホームページの「新たな販売チャネル構築」、「新規顧客の獲得」、「販売量の増加」、「売上の拡大」が図られている。

7.IT 投資と従業者数の関係

IT 投資と従業者数の関係は、単純な人員削減だけでなく、「付加価値向上」と「業務効率化」両方のITを導入した企業は、バックオフィス業務で省力化を行い、余剰人材を販売・営業といった業務分野に配置換えして、社内全体として従業者数を変化させずに、業績向上させている。

<中小企業白書2016から抜粋>

8.IT導入の補助金について

中小企業がIT導入する時、中小企業庁から昨年度に導入された「IT導入補助金」があります。
IT導入補助金は、中小企業者が経営強化法の事業分野別指針に沿うような生産性向上に係る計画を策定し、ITツールを導入する際の経費を補助する仕組みです。H30年は、最大50万円・補助率1/2になる予定です。

ITツール導入に係る課題は、導入後の中小企業の生産性向上、事業の継続性、セキュリティ対策などの実績を見える化できるか。中小企業支援機関などの連携やITベンダとの連携によるBPR支援が今後必要になります。

(参考)昨年度の補助金申請された業務
(1)フロント業務
新規顧客獲得、ホームページ機能の強化
(2)ミドル業務
業務効率の向上、勤務時間短縮
(3)バックオフィス業務
会計業務の効率化、在庫管理・債権管理

【中小企業庁のHPを参照】